キアロスク―ロ(Chiarscuro)CHシリーズの発売に寄せて
こんにちは。bolda責任者の田中と申します。
この度2022年度の新年を飾る、ディスプレイブロック「キアロスクーロ(CH4)」の発売にあたり、開発の思いや経緯などを少しお話させていただきたいと思います。
名前の由来
今回発売するキアロスク―ロシリーズは、独特の立体的幾何学模様による陰影の美しさを持つ、当社製品の中でも際立った空間演出を効果的にもたらす製品です。
キアロスク―ロとはイタリア語で「明暗」という意味で、美術においては光の明部と暗部の対比による立体感や躍動感を表現する技法として知られています。
ねじったような形状、硬質ミルダンとの相性の良さ
従来の角柱タイプの展示台(TB-06など)をねじったような形状で、一般的には「反角柱」、「ねじれ角柱」、「ダイヤカット形状」などと表現されます。天面と底面以外の側面はすべて三角形で構成されているのが特徴です。
この構造と当社使用素材の硬質ミルダンは非常に相性がいいと思っております。
紙パックをリサイクルしたマットな白色の素材でこのダイヤカット形状を作ると、天井からの照明だけでもとてもきれいな陰影ができ、側面の三角形が上下左右にさまざまな濃淡の陰影を作り出します。
イタリアに出展し、構想を得る
ボルダ事業部が発足してから3年、まだ硬質ミルダンでの事業ドメインを模索していた頃、あるご縁があって某プロダクトデザイナーとのコラボ作品などを2013年と2014年にイタリアのミラノサローネに出展したことがあります。
ミラノサローネはご存じの方もいらっしゃると思いますが、毎年春にミラノ市で行われる世界最大規模の家具やプロダクトデザインの展示会で、ミラノコレクションと並ぶ市内を挙げての2大イベントの一つです。
そこで展示されているものの斬新さは日本国内にいただけでは触れられないようなものも多く、実はそこでの経験の一部が、キアロスクーロの構想にもつながる、大変貴重な経験でした。
思えば構想から製品の完成までに8年ほどが経過していることになりますね。つくづく長かったな~と思います。
テスト~完成まで
試作をしてみるものの…
帰国して、まず側面だけを自分で試作してみました。仕上がりを見て、光の陰影がきれいに出る形状で硬質ミルダンの白色の素材もぴったりだなと感じました。
これはいける!と・・・しかしそこからが長かった。
側面のみの試作は簡単にできましたが、完成品として仕上げるための一つ一つの課題解決は従来の角柱展示台とは比べ物にならないレベルで難しく、そうこうしているうちに事業も忙しくなり頭の隅には常に構想は持ちながらいつも後回しに・・・
宇宙人の発想? からの3人寄れば文殊の知恵
「何とかこの陰影の美しい展示台を世に出したい!」
そんな思いでやっと開発に本腰を入れて取り組むことができたのは、コロナ禍で仕事量が減少し始めた2020年に入ってからでした。
試作品を3つ4つと作りましたが、360度どこから見ても陰影の美しさを損なわない組立構造には程遠い状況でした。私一人の発想では限界があったのです。
そこで社内に開発プロジェクトチームを立ち上げ、取り組むことにしました。ある日プロジェクトスタッフの一人が私の設計を根本から変える発想を提案してきてくれました。
最初それを見たとき「これは宇宙人の発想やな」と半分茶化しながらも、その線も一応試してみようと思いました。内心はおそらく無理だろうと思っていたのですが・・・
はじめは実現がむずかしそうに見えたその提案でしたが、さらに別のスタッフの改良案を加えることで一気に現実味を帯びてきたのです。振り返ってみれば今までで一番しっくりくる仕上がりになっているではありませんか!
これは私にとって大変うれしい誤算であり、また自分一人で行うことの限界も痛感する驚きの経験でした。
「3人寄れば文殊の知恵」といいますが、この言葉がこれほどまでに実感できたことはありません。
最後に
今回キアロスク―ロを発売することができたのは、このような過去からの様々な経験や社内外の方たちのご縁やご協力のおかげだと心から感謝しております。
昨年6月末には無事に特許出願も終えることができました。
このキアロスク―ロシリーズは今回のCH4を皮切りに、今後いろいろとシリーズ展開も行っていく予定です。是非今後もご期待くださいね。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。このキアロスク―ロが皆様の製品や作品に新しい光をあてられるディスプレイ什器となることを楽しみにしております。
今年もbolda製品をどうぞよろしくお願いいたします。
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